例えば貴方の目が見えなくなれば、、、
「ねぇ、」
「んー?」
「何で怪我なんかしたの?」
「いや、だから油断して…」
そう言って左目を覆ったガーゼの上から傷口に触れる貴方は少し寂しそうで
だけど、何処か喜んでいるように感じた
「王子の居ないところで勝手に怪我して良いと思ってんの?」
…何でコイツは、こんな台詞を淡々と吐けるのか
そんな質問をした所でお決まりの台詞で流すんだろうけど
「あー…はいはい。勝手に怪我してゴメンね。」
「どうせなら、、、」
「…何?」
「オレ以外見えなくなれば良いのに。」
そう言っている表情は長い前髪で見えないけど
何と無く冗談とは思えなかった。
「いきなり何を言い出しますか?」
「だっての目が見えなくなれば、ボスが任務に行かせなくなるでしょ?」
「まあ、止めるんじゃないでしょーか…」
それでも自分は任務に行くんだろうけど
こんなこと目の前に居る王子様には言えませんが…
「そしたら王子も任務行かないで一緒に居られるし」
「ボスに怒られるよ…。」
「そんなの王子に関係無いし」
「じゃあ"遊び"はどうするの?」
「そんなの何時でも出来るじゃん。」
王子にとって所詮"遊び"って言うのは只の暇潰し程度の娯楽みたいですね。
「別にが居れば遊びに行く必要なんか無いし」
「あ、そうですか…」
「王子がの目になってあげるから」
いや、実際は軽傷なんですけど…
ルッスに聞いたら1週間で治るみたいなんですけど…
「まあ、考えとくよ。」
「てゆーか、に拒否権なんか無いんだけどさ」
そう言って再び傷口に触れてきたけど、先刻とは違い酷く荒々しくて、だけど壊れ物を扱う様に丁寧な手付きで…思わず息を呑んだ。
「痛いから、離して…」
「王子に命令すんな」
ほら、そうやってまた突き放す…
さっきまでの貴方からは想像出来ない冷淡な台詞
「なら、オレの言ってること分かるでしょ?」
そうやってまた縛り付ける…
「勝手に怪我したから、お仕置き。」
そうやってまた…
「とりあえず、部屋行かなきゃね。」
「…。」
「一生逃がしてなんかやらないから」
こんな言葉で侵食されて、貴方に支配されていく
自分の首にぶら下がっている歪な形をした金属が服に擦れて、速度を増していく心音を響き渡らせている気がした。
"You treat me like a dog..."
それでも愛してるから…
どんな形でも良いから傍に居させて。