別に何かあったとか、そんなんじゃないんだ…





今日は任務が休みで、遅くまで寝ようとしたらルッスーリアが趣味の悪いエプロンで王子の部屋に上がり込んでギャーギャー喚くから仕方なく起きた。



王子すげー優しいでしょ



適当に支度済ませて飯食おうとしたら、ボスが不機嫌でスクアーロの鼻にアスパラ詰めて写メ撮ってた。

まあ、王子も便乗して写メ貰ったけどね。
そしたらマーモンが高値で売れる!とか言いながら金の計算してた…あんな写メ欲しがる奴いないと思うけど楽しそうだったから無視しといた。


んで、2人が騒いでるから適当にルッスーリアが作った飯食って部屋に戻ったんだっけ…多分。



ここまで覚えてるとか王子すげー!

やっぱり、そこら辺のパチもんとはデキが違うんだよね。





だってオレ王子だもん





あ、それからねー、暇だったから屋敷の中を適当にブラブラしてた。途中で新入りの奴が話し掛けてきたんだけど何か煩くて気に入らなかったから刻んで廊下の端に蹴飛ばしといた。

何が気に入らなかったのか思い出せないんだけどさ…顔も見てないから分かんないし。


それをルッスーリアが見てたみたいで怒られた。アイツだって部屋に死体とか持ち込んでるのに何で王子が怒られなきゃなんねーの?

大体さ、オカマのくせに王子に説教するなんて有り得ないんだけど。

今度アイツの部屋にある死体バラバラにしてやろーかな…。





あ、これ内緒だからね。言わなくても分かってると思うけどさ。





結局、説教の途中でオレが逃げたから隠れんぼみたいになってさー。
王子は隠れんぼ大好きだから付き合ってやったんだけど…隠れてる間に変な気持ちに襲われて…すげー気分悪かった。

そのモヤモヤ感が頭から離れなくて昼寝しようと思って部屋に戻ったんだよね。

ルッスーリアも諦めて夕飯の準備始めてたみたいだし。



それから昼寝しようと思ったけど、寝れなくて…

それから…















「ベル…」

「あ、それでね夕飯の時に、」

「ちょっと待て落ち着け!!」

「むぐっ…」



折角、の為に今日の王子について話してあげてるのに、途中で口を塞がれた。

何この状況…意味分かんないんだけど…。



「…。」

「あ、いや、あの…」



無言で睨み付ければ慌てて手を退ける





「何してんの?」

「だって、ベル煩いんだもん。」

「…煩いとか王子すげー傷付くんだけど。」

「いや、悪い意味じゃなくて…」

「じゃあ、何?」





少し言いにくい素振りを見せたけど、気付かないフリをして質問する。

だってオレ王子だし。久々に会った恋人に煩いとか失礼だもん。



王子はが任務から帰ってきたの嬉しかったのにさ。

は、そんな様子無いし。何か王子の方が馬鹿みたいじゃん。





「今日、任務から帰ってきたでしょ?」

「そーだね。」



冷めた口調になったけど、気にしない。



「ベルさ、いきなり抱き付いてきたでしょ?」

「別に普通じゃん。」

「それは良いんだけどさ…慣れたし。」

「他に何かあるの?」





何も言わないで俯いてるのに何故か唐突に王子の指に触ったり握り締めたりして遊んでる…。






…何してんの?」

「うえっ!!?」

「さっきから質問に答えないで王子で遊んでるけど…」

「…怒らない?」

「…多分ね。」

「それが1番怖いよ!!」

「いいから早く言わないと怒るよ?」

「言う!言います!言いますから!」





別に本気で怒るつもりなんて無かったんだけど…。

楽しいから何も言わないで様子を見ることにした。

別に放置とか、そんな悪趣味な事してるわけじゃないから勘違いしないでよ。










覚悟を決めたようにが深呼吸して、オレの前に正座した。

そこまで深刻な問題じゃないと思うんだけど…










「だからね、任務終わってベルに会えたのに帰ってくるなりそんな色々と話されたらこっちだって混乱するんだよね。」

「うん。」

「てゆーか、任務の間にベルが何してたとか色々と報告してくれるのと同じでこっちも話したいことが山ほどあるの!それも聞かないでベルの話ばっかりされると嬉しいんだけど、複雑なんだよね。」

「…うん。」

「こっちにも話したいことあるし…分かるでしょ?」

「…はい。」

「あ、それで思い出したんだけど任務の時に美味しそうなプリンの店があってさー思わず買ってきたんだけど食べる?」

「食べ…」

「それからベルに似合いそうだと思って洋服買ってきたんだよー!!これ、凄い可愛くて思わず…」

落ち着いて…」

「あれ、何か話が違う方向に?」

「うん。」

「…あーもー何言いたいか分かんなくなってきたー!!」

の方がオレの5倍は喋ってた気がするんだけど…」

「今のは関係無いだろ…。」





が何を言いたいのか何と無く悟ることは出来たんだよね。だって王子はの恋人だし、当然でしょ。

でも、さっき王子のこと「煩い」とか言ったから分からないフリしてキスしといた。

もしかしたら誰か(夕飯の準備してる悪趣味のオカマとか)に見られていたかもしれないけど、は全然怒らないで胸に顔を埋めてきたから、オレの方が気恥ずかしかった。















本当はと話してる時に、例の新入りが気に入らなかった理由とか、昼寝の時に感じた変な気持ちとか分かったんだけど…

やっぱり先刻の出来事が頭を掠めるから、黙っての頬を抓ってみた。






案の定、膨れっ面で睨まれた。

















新入りが気に入らなかったのは、君の話をされたから

変な気持ちになったのは、君を無意識に求めていたから





自覚すれば簡単で、隣に君が居ない時だけ湧き上がる醜い感情

























(それに気付いたとしても、君は同じように笑ってくれるかな)