「邪魔だ邪魔だ邪魔だ!!!」



「あーもう煩いなー!!」

耳を劈く怒鳴り声から逃れる術を探すが、その勢いが止みそうにないことを悟り、諦めて聞き流す努力をする

「何故そんなに邪魔をするのだ!?」

「別に邪魔してるつもりは無いんですけどねー」

「人の書類にコーヒーを溢して証拠隠滅の為にゴミ箱に投げ入れていた奴が言うことじゃないだろ!!」

「グロちゃんが見てると思わなかったんだよー見てるの知ってたら顔面に投げてたし」

「余計にタチが悪いわ!!」

いつもなら癒される筈のの笑顔も、今は苛立ちを募らせる原因にしかならない

「今日提出の書類なんだぞ…」

「私が白蘭と正ちゃんに謝ってあげるから元気出しなよー」

「貴様の所為だ!!!」

頭を抱えながら椅子に腰掛け、山積みになって書類を目の前に盛大に溜息を吐く



「貴様は本当に私のことが嫌いなのだな」

「………」

「まだこれだけ書類があるんだ、頼むから出て行け」

そう言い放ってグロは書類を片手に仕事を再開する


部屋には重苦しい空気が流れ、痛い沈黙が部屋を支配していく



「グロちゃーん」

「………」

「出て行くから話聞けよ顔面ピキピキ野郎」

「…手短に話せ」

書類に視線を向けたまま、不満そうな声でグロが呟いた




「さっきの撤回して」

「何のことだ?」

「嫌いとか言ったでしょ?」

意味深な発言に書類から視線を外しを見れば、予想とは裏腹に真剣な表情でこちらを睨み付けていた

確かに自分が放った言葉ではあるが、それは誰もが知っている事実なのでが撤回を要求する理由が分からず、グロは首を傾げる


「別に嫌いじゃないし」

「……」

「だから撤回して!」

「…あ、ああ」

「今すぐ!」

「…分かった、撤回する」

言い寄られるままに、自分の発言をあっさり撤回してしまったことが何と無く悔しくて再び書類に目を向ける

「グロちゃん照れた?」

「違うわ!!」

「そっかそっかー」

視線を逸らしているので表情は分からなかったが、嬉しそうな声で反応するの素直な態度に思わず笑みが零れた

「よし、出て行くわ」

「…は?」

声色を変えることなく楽しそうにドアの方へ進んでいくを間抜けな声で引き留める

「いや、邪魔したら悪いし…」

「私のことが嫌いじゃないのだろう?」

「うん。」

「だったら部屋で大人しく待っているとか…」

「白蘭とラーメン食べに行く約束してるから無理」

「何だと!?」

の言葉に耳を疑い椅子から立ち上がりドアの方へ歩み寄る


「私が仕事しているのが待てないのか?」

「…何か勘違いしてるみたいなんですけど、私は別にグロちゃんのこと好きなんて言ってないよ」

「…へ?」


自分が感じていた甘い空気が一瞬にして崩れ去るような感覚に軽い眩暈を覚えながらグロは頭を抱えて蹲った


「まあ、そーゆうことだから」

「………」

「何か、ごめんね?」

「…気にしていない」

「じゃあ、行ってきまーす!」

それだけ言い残しては鼻歌を奏でながら勢い良く部屋から出て行った

「…この私がに踊らされるなど…」

頭を抱えたまま立ち上がり、再び椅子に腰掛けて書類を握りしめる

「…ふ、ふんっ」

誰も居なくなった部屋で唇を噛み締めながらグロは本日妨害しかされていない仕事を再開した















「何かゴキゲンだねー」

廊下を歩きながら鼻歌を奏でるナゾノクサの隣で白蘭が疑問を投げ掛ける

「ちょっと可能性が出てきたんだよー」

「グロの何処が良いのか僕には分からないけどね」

「あのピキピキ可愛いじゃん!」

「…趣味悪いよ」

流石に白蘭もの意見には賛同出来ないようで、思わず苦笑を浮かべて返事をする

「やっぱり好きじゃないって言ったのは駄目だったかな…」

「ラーメンと餃子にしようかなーでも、炒飯も食べたいなー」

「白蘭が無視したー!!」











好きじゃないなんて嘘だから

お土産買って帰るから

頑張って良い子になるから



早く機嫌直して?










(こんな関係も理想的)