「…失礼しましたー」
呆然とするボスとから視線を外してフランは静かにドアを閉める
「見ちゃいましたよー」
ククッと笑いながら軽やかに廊下を進んでいく
「貴様、何をニヤニヤしている」
目の前には不愉快極まりない顔
普段なら自分以上にニヤニヤしている気持ち悪い先輩が不審な眼差しで自分を見下ろしていることにフランは若干の苛立ちを覚えた
そして、少しだけ首を傾げて考える素振りを見せた後に再び笑みを零す
「レヴィさんには教えませーん」
「なっ!何を隠している!?」
「教えないって言ってるだろ聞こえなかったのか変態」
「んなっ!!」
驚き動揺するレヴィに暴言を吐き捨て、隣を通過する
「誰かに言いたいですー」
先程見た2人の顔を思い出すだけで笑いが込み上げてくる
「あら、フランちゃん」
「ルッスーリア先輩」
廊下の角を曲がったところで、スキップしながら洗濯物を運ぶオカマの先輩に声を掛けられた
「ご機嫌ねー!何か良いことでもあったのかしら?」
ニコニコ楽しそうに聞いてくるルッスーリアの顔を見て、フランはターゲットをこの人にしようと決めた
「ルッスーリア先輩!良いこと教えてあげましょうかー?」
「あらあら、何だか楽しそうね!教えて教えて〜!!」
腰をくねらせながら詰め寄るルッスーリアに少し怯えながらフランはルッスーリアに話を始めようとした、その時
「じ、実はですね…」
「フラン!!!!!!」
「げっ…」
声のする方を見れば、我等がヴァリアーのボスである人が物凄い形相でこちらに向かってきた
「あら〜ボスったら右手と右足の動きが一緒になってるわよ〜」
「ぜぇはぁ…」
「しかも汗びっしょり…タオル使う?」
ルッスーリアからタオルを受け取り目の前で呆然とするフランを睨み付ける
「…っ!!!」
「話があるから部屋に来い」
「ミーはルッスーリア先輩と大事な話が…」
「何か言ったか?」
「…分かりましたー」
ムスッとした表情で部屋に戻るザンザスの後ろを付いていくフラン
それを見送るルッスーリアは、通りすがりのレヴィに洗濯物を押し付け、2人の後を追った
「…用事って何ですかー?」
ザンザスの部屋に入るなり、ソファに腰掛け退屈そうにフランが問い掛ける
「見たよな?」
「何をですかー?」
「いや、目合っただろ」
「ボスがに膝枕してもらって耳掃除してもらってたなんてミーは知りませんよー」
「お、おい!誰かに聞かれたらどうするんだ黙れ!黙ってろ!」
フランの発言に動揺したザンザスは自室の冷蔵庫に閉まっていたプリンを取り出しフランの目の前に差し出す
「買収ですかー?」
「…そうだ」
「ミーの部屋にあるソファ少し小さいんですよねー」
「…好きなだけ買ってこい」
「あと、テレビも調子悪いしー」
「買え」
「それからー…」
「ストップ!!!!!」
フランがニヤニヤしながら自分の欲しいものを挙げていると、勢いよくドアが開き満面の笑みを浮かべたルッスーリアが入ってきた
「…っ!!!」
「…ル、ルッスーリア先輩…」
「全部聞かせてもらったわよ?」
ニッコリ微笑んでいる筈なのに、サングラスの奥は笑っていないことを2人は確信していた
「経費の相談でもしてたのかしら?」
「いや、あの…」
怯えるザンザスを睨み付けると、ルッスーリアは手に持っていたメモを読み始める
「スクアーロに投げ付けたグラス合計520個」
「……」
「壊したイスの合計325脚」
「……」
「破壊した車の合計105台」
「…スミマセンデシタ」
「分かってくれたら良いのよ〜」
「…はい」
完全に消沈したザンザスから視線を逸らすと次は怯えたフランに目を向ける
「…っ!!!」
「フランちゃ〜ん」
「ミーは別に…冗談ですよ!冗談に決まってるじゃないですかー」
あはは…と空笑いしながらドアの方へ歩みを進めていく
「それなら良いんだけど…冗談でも次言ったら…」
「もう言わないですーボスが誰とイチャイチャしてても何も言わないですー!!」
半泣き状態で恐怖に怯えながら、フランは部屋を勢いよく飛び出した
「もう!あんなに怖がらないでも良いのに〜」
「……」
プンプンしているルッスーリアの後ろで、怯えたままのザンザスが涙目になっていたとか…
「…あのオカマ怖すぎですよー…」
「あ、フラン…」
「」
「あの、さっきの…」
「誰にも言わないですよー!!!!」
「え、ちょ、早っ!!」
が話し掛けた瞬間、もうフランの姿は見付からなかった
今日も
明日も
明後日も
独立暗殺部隊は平和です