君を痛め付けるのが好きなんだ





「デートしようぜ?」

「やだ」

オレからの誘いを無愛想に断りながら外方を向く

「…何で?」

「人混み嫌い」

「全員殺したら行く?」

「もっとやだ」

せっかくオレがデートする為にプランを提案してやったのには悉く却下する

王族にこの態度って失礼すぎるだろ、じゃなかったら絶対殺してる



「…ベルとはデートするのにオレとはしないんだ」

「は?」

苛立った声で文句を吐けば怪訝そうな顔で睨まれた

何か反抗的でムカつく

てゆーか、オレより失敗作が良いとか、異常だろ




「昔は素直にオレの言うこと聞いてたのに」

「ジルが生きてた頃の話でしょ」

「王子は死なねーんだよ」

「…ゾンビ的な?」

首を傾げながら、そんな恐ろしいことを言い放つ

王子と腐乱死体を一緒にするなんて失礼にも程があるだろ



「…王族を馬鹿にしたには、お仕置きが必要だな」

「冗談!冗談だから!」

「笑えないし超傷付いた」

「うぎゃ!!」

首に手を掛けて勢い良く床に押し倒せば鈍い音と一緒にの呻き声が聞こえた



「…可愛くねー声」

「…脳細胞死んだ馬鹿になった」

「昔から馬鹿じゃん」

「煩い」

不貞腐れながら外方を向いて文句を言うの表情は素直な態度と正反対で面白い



「今の状況分かってる?」

首に掛けた手に少し力を入れる

「…ッ!」

苦しそうに顔を歪めてオレを睨み付けるが愛しいと思うのは末期の証拠かもしれない



「好きだよ」

「…聞きたくない」

「何度でも言ってやるよ」

「…いらない」


視線を逸らしてオレの言葉を全て否定する


「この状況で反抗して自分のこと追い詰めて馬鹿みたい」

「昔から馬鹿です」

さっきオレが吐いた台詞に嫌味を含んだようなの返事



「そーゆうところも大好き」

「…はいはい」





近くて遠い距離が歯痒くて、抵抗を諦めたを引き寄せて腕の中に閉じ込めた







十数年の溝が埋まらなくて





あの手この手で君を振り向かせようと躍起になるけど





そんな格好悪い自分を君だけには知られたくないんだ








(毎日毎日、新しい君だらけ)