オレが王様なら

キミは王妃になるんだろ



「…めんどくさい」

に拒否権とか無いし」

オレの提案に物凄く嫌な顔をして不満を口にする

…口尖らせてアヒルみたい

「私には似合わないよ」

の意見なんか聞いてねーし王様の言うことは絶対」

「まだ王様じゃないし」

「アイツが継承するなんて有り得ないんだからオレに決まってるだろ」

自分と同じ形の奴をが思い浮かべるだけで苛々する

まあ、失敗作と比較したら中身はオレの方が絶対勝ってるんだけど



「王位継承者様は随分と自信に満ち溢れてるんですねー」

「…喧嘩売ってる?」

「売ってないけど馬鹿にしてみた」

「死にたいの?」

「…冗談ですよ」

「笑えねーよ」

「うわっ!ちょ…」

ムカついたから、近くに置いてあった人形をの頭部目掛けて勢いよく投げ付ける

投石で鍛えたコントロールで人形は見事ににヒットした


「いだい…」

が悪いんだろ」

「…すいませんでした」

頭を擦りながら、棒読みで謝罪する

何か馬鹿にしてるというより、オレで遊んでる気がする


…王子で遊ぶなんて良い度胸してんじゃん


「やっぱりのこと王妃にするの止めた」

「え?」

「候補なんか腐るほどいるし」

「………」

オレの言葉に驚いたような顔をして、無言で睨み付けてくる

の視線を独占していることに優越感を覚えずにはいられない





「じゃあ、この話終わり」

「ジルの…」

「ん?」

「ばーか!ばーか!!」

「いだっ!!」

オレが投げた人形をがさっき以上の勢いで、オレの顔面目掛けて投げ付けてきた

普段なら避けられるのに、油断してた所為で見事にクリティカルヒットした

「ベルと遊んでくるから良いもん」

!…もう居ないし」

呼び止めようとしたら、もうは部屋から立ち去った後だった

投げ付けられた人形を拾い上げて、埃を払い除ける



「…ヤキモチってことは脈あるよな?」

さっきのの顔を思い出すだけで、笑いが止まらない

人形を抱えたまま笑いを堪えていたら、通り掛かった使用人に不審な目を向けられたけど関係無い

いつもなら殺してるかもしれないけど、今のオレは機嫌が良いんだ





「さて、王妃様に似合うドレスでも作らせるかな」

そう思い立って意気揚々と部屋を飛び出した










きっと君に似合うのは

血よりも薔薇よりも赤い真紅のドレス















(君の前では威厳も何も関係無い)