スキ
キライ
スキ
キライ
スキ
「…キライ」
そう呟きながら盛大に溜息を吐けば周りに散らばった花弁が踊るように宙を舞う
ひらひら
ひらひら
「…何してんの?」
「花占い」
「ふーん…」
私の行動自体には全く興味が無いようで、それだけ言って無言で隣に座る王子様
「何か用?」
自分でも驚く程に不機嫌丸出しで、彼の用件を聞き出そうとする
「暇だからと遊んでやろうと思って」
「…それってベルが暇だから遊んでほしいんじゃないの?」
「王子に口答えするなんて生意気になったね…」
不貞腐れた様子で外方を向いたと思えば、咲き乱れている花を無言で切り裂き始める王子様
それを見て残酷というより、寧ろ愛らしいと思ってしまう自分は末期なのかもしれない
「…あげる」
切り裂いた花から1本だけ拾い上げて私に差し出す
「…え?」
「花占いしてるんでしょ?」
「あ、うん…」
花を受け取って花占い再開
さっきの花で終わらせる予定だったのは優しい王子様には内緒にしようと誓って1枚目を抜き取る
スキ
キライ
スキ
キライ
スキ
「…キライ」
最後の1枚を抜き取り、先程と同じ台詞を吐き出す
「やっぱり嫌いだ」
「…違うでしょ」
「へ?」
予想外の返答に間の抜けた声を出しながら、手元に残った花びらを再び見つめる
ひらひら
ひらひら
「…あんな占い信じてるの?」
「少しくらい普通の女の子みたいに夢見たって良いじゃん」
「似合わないよ」
「失礼だなー」
繋いだ手が嬉しくて、無惨な花を踏み付けることに罪悪感は芽生えないけど
最後に抜き取った半分に裂かれた花びらは王子様に内緒でポケットに忍ばせた
不器用すぎる花占いに
愛しい貴方の
優しさと無邪気さを重ねる
(狂って笑って咲き乱れた)